パチンコの釘調整について

パチンコと言えば、盤面に打ちつけられた釘と玉が織りなすゲームです。

パチンコの釘はパチンコという遊戯の根幹にかかわる存在で、スロットが設定を変える事で実現している性能差の実現を、釘調整(あとは台の傾斜)で実現してきたのがパチンコの歴史でもあります。

そんな釘調整に対して近年、かつてないぐらいに厳しい視線が注がれました。

その結果として『設定付きパチンコ』というものが登場する事になったのですが、今回の記事ではそのへんも含めてパチンコの釘調整について扱って行きます。

パチンコの釘調整は違法?

結論から言えば、パチンコの釘調整(その台本来の釘状態から変化させる行為)は違法行為と言えます。

というのも、パチンコやスロットは正規の仕様である事を警察が確認した後にホールでの稼動が許可される事になるのですが(新台開放前に資料を手にした人が台の内部を確認している様子を見た事のある人も多いと思います)、それは即ち検定機関の審査を通過した正規状態の台である事を前提に稼動が許可されているという事です。

パチンコの釘調整は台の性能(期待値プラス~期待値マイナス)に直結する部分であり、それでいてスロットの設定のようにあらかじめ用意された機能でもないものです。

となると、釘調整というのは言ってしまえば不正改造の一種ともいえる訳で、スロットで言えば昔流行っていた裏モノと同列に扱うべき問題とも言えるのです。

パチンコの釘調整はスロットの設定調整より「広い」

たまにパチンコやスロットのユーザーが言う冗談として、「スロットは最低でも設定1で打たせてくれる」というような言い回しがあります。

その言葉で暗示されるようにパチンコは利益確保を最優先にすれば本当に酷い調整にする事が出来てしまいますし、逆にスロットの設定6などでは到底実現できないレベルの大盤振る舞いも可能となるのがパチンコの釘調整というものです。

スロットは設計できる機械割の数値が一定の範囲内で規定されていますが、パチンコの釘調整はそういった枠組みの外側に存在しており、それこそスロットで言えば機械割80%相当の調整や、逆に機械割150%なんて調整もやろうと思えば可能となります。

こういった「危うさ」も近年釘調整に対する厳格な姿勢を後押しする要因だと思われます。

違法行為が許されてきた理由

パチンコの釘調整が違法行為なのであれば規制すれば良いだけの話だろうと思う人もいるでしょう。

しかし実際問題として、パチンコの釘調整を禁止してしまうとホール側は利益確保が困難になるか、あるいは稼動不足で窮する状況が容易に想像できます。

スロットが全台設定の無い仕様になった時の事を想像してみて下さい。

仮にある日突然設定が一切ない、どの台も機械割が99%(ちょっとだけ負ける)といった仕様が普通になった場合、最初は気にしない人や気付かない人が普通に打ってくれるかもしれませんが、次第に稼動が減って行き、ついには全国でスロットコーナーが閉鎖されていく未来しか見えないのが正直な所です。

パチンコにしろスロットにしろ、出玉を見せる事はやはり必要ですし、釘調整というもの自体がパチンコのゲーム性に密接に結びついている以上、それを排してしまうとパチンコ自体の面白みが大きく減退する事でしょう。

そういった理由からパチンコの釘調整というものは暗黙の了解として警察からも黙認されてきた歴史があり、それがこれからも続くかと思われていたのですが、数年前に突然取り締まりが厳しくなりました。

暗黙の了解が得られづらくなったものの、とは言え釘をいじらないと営業的にツライという本音もあり…という状況だったところに登場したのが前回の記事で扱った設定付きパチンコです。

設定付きパチンコに関する記事はこちら。

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設定付きパチンコの登場

設定付きパチンコが登場してまず注目されたのは、液晶演出などを活用した設定推測要素と設定6のエクストラ設定っぷりでした。

最初に登場した設定付きパチンコであった『PF.革命機ヴァルヴレイヴ』は設定6のボーダーラインが段違いに甘い仕様であり、その点が話題を呼びましたし、その設定を判別するために用意された様々な要素も興味深いものでした。

しかし設定付きパチンコの本旨とは、そういった設定推測というゲーム性を有したパチンコの創設にある訳ではなく、あくまでも「釘を調整せずに利益調整をするための装置として設定というものを付けた」所にあります。

そういった意味では、初期の設定付きパチンコの中では先述の『PF.革命機ヴァルヴレイヴ』よりも『Pスーパー海物語 IN 沖縄2』の方がより根本的なコンセプトを体現した台だったと言えるでしょう(『Pスーパー海物語 IN 沖縄2』は設定示唆演出は存在するものの、基本的にはユーザーが設定判別する事を念頭に置いていない作りだった)。

釘調整は出来た方が良い

数年前に「パチンコ業界で違法な釘調整が蔓延している!」といったニュアンスのニュースが数多く報道されましたが、先述の通りこれは別に目新しい話題ではなく、これまで暗黙の了解として容認されてきた事が、時代の変化、警察側の意識の変化によって許されなくなってきたというだけの話なのです。

パチンコで期待値プラスの稼働をしたい人間からすると、釘調整はしてくれた方が良いのは間違いありません。

「釘調整は違法」という言葉のニュアンスからユーザーにとってデメリットが大きいような印象があるかも知れませんが、マイナス調整だけではなくプラス調整も当然存在しており、釘調整はユーザーにとってはマイナスもあればプラスもあるという存在なのです。

一番どうにもならない状況とは、パチンコ全台が少し負けるぐらいの調整で統一されて尚且つそれが延々と変化なく設置され続けている状況です。

もし今後一切の釘を触る事が出来ないようなパチンコが当たり前になったとしたら、その時はパチンコと言う遊戯が大きな変化を見せる瞬間なのでしょう。

将来的にはスロットと同様に、設定判別が主要な勝ち方となっているのかもしれませんね。


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